
写真・吉澤菜穂/アフロ
56年ぶりの自国での夏季オリンピック開催に、過去最多の金メダル獲得数が期待される、我らがニッポン。5月から6月にかけて、JOCが各競技団体の協会幹部に現状をヒアリングし、その結果をもとに、依頼を受けた大手広告代理店により、339種目にわたり「金メダル確率」シミュレーションがおこなわれた。
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今回本誌は、表に出ることのない、この「一級資料」を、独自に入手した。東京五輪で金メダルが有力視される選手と競技種目、その根拠を資料から一部抜粋して紹介しよう。
【JOCが「金メダル」を期待する有望アスリート&チーム】
●喜友名諒(29)/空手男子・形/金メダル獲得率:95%
初の正式種目となった「空手」で、もっとも金に近い男。しかも、空手発祥の地・沖縄出身というのも運命的。直近2年間におこなわれた12の国際大会で、優勝を逃したのはわずか1回。なかでも、2年ごとに開催される世界選手権では3連覇中で、実績も十分。
●男女混合団体/柔道/金メダル獲得率:95%
東京五輪から採用された新種目。2017年、2018年の世界選手権で優勝するなど、ここ2年は無敗。柔道競技のトリを務めることもあって会場も盛り上がり、地の利もアドバンテージに。
●桃田賢斗(24)/バトミントン男子・シングルス/金メダル獲得率:92.5%
この2年間に出場した国際大会14大会で10度優勝。最新(7月18日現在、以下同)の世界ランク1位。ライバルは同2位のシー・ユーチ(中国)、同5位のビクター・アクセルセン(デンマーク)だが、2018年以降、シーに3勝2敗、アクセルセンには6勝0敗と優位なだけに期待大だ。
7月18日、インドネシアOPでまさかの2回戦敗退を喫したが、巻き返しに期待。世界ランク1位は、日本人男子では初の快挙。
●新井千鶴(25)/柔道女子・70kg級/金メダル獲得率:92.5%
世界ランク1位。国際大会では、前代表の田知本遥が引退したリオ五輪以降、圧倒的な勝率を誇る。同2位のマリーエベ・ガイエ(フランス)、同3位のアンナ・ベルンホルム(スウェーデン)にも、直近の対戦でともに2戦2勝と死角なし。
自ら「自分の柔道は足」と語るように、172cmの長身から繰り出される足技が武器。8月の世界柔道で3連覇なるか。
●川井梨紗子/レスリング女子・57kg級/金メダル獲得率:92.5%
リオ五輪で63kg級で金メダルを獲得して以降の国際大会では、2018年のアジア大会(3位)を除いて、すべて優勝。
伊調馨との激戦を制して代表の座を掴んだ世界選手権(9月開催)で、メダルを獲得すれば、東京五輪の代表に内定する。妹の友香子とともに、姉妹で五輪出場を目指している。
●松本麻佑(23)&永原和可那(23)/バドミントン女子・ダブルス/金メダル獲得率:90%
ともに北海道出身の、通称「ナガマツペア」。世界ランク1位。2018年の世界選手権では大方の予想を裏切り、福島由紀&廣田彩花(同2位)を降して初優勝し、波に乗る。
同4位にはリオ五輪金メダルの松友美佐紀&高橋礼華と、有力ペアがひしめいており、どのペアが出場しても金メダル候補。
●芳田司(23)/柔道女子・57kg級/金メダル獲得率:90%
世界ランク1位。同2位の出口クリスタ(カナダ)とは3勝3敗と互角も、同3位のノラ・ヤコヴァ(コソボ)には3戦3勝。海外の有力選手に負け越しがないだけに有力。
相手を尻に乗せて投げる「ケツ股」と呼ばれる独特の内股が武器。妹の真も48kg級の選手。
●清水希容(25)/空手女子・形/金メダル獲得率:90%
端整なルックスと愛くるしい笑顔で人気で、プロ野球の始球式で形の披露も。2017年の「ワールドゲームズ」優勝後の2年間に出場した、12の国際大会で7度の優勝。課題とされる「呼吸音」の大きさを克服すべく、トレーニングに取り組む。
●大野将平(27)/柔道男子・73kg級/金メダル獲得率:87.5%
世界ランクは12位だが、大舞台に向けての調整法に定評あり。ライバルは同1位のルスタム・オルジョフ(アゼルバイジャン)と韓国の安昌林だが、国際大会では大野が圧倒している。
●阿部一二三(21)/柔道男子・66kg級/金メダル獲得率:87.5%
2月におこなわれた「グランドスラム」では、まさかの初戦敗退に終わったが、直近3年間の国際大会での実績は抜群。リオ五輪では代表の座を逃したが、「一緒に金メダルを獲ることは、はっきりとイメージできています」と明言。
ただし、東京五輪代表の座を勝ち取るには、4月の全日本選抜体重別選手権大会で敗北を喫した、丸山城志郎(世界ランク2位)を破る必要がある。
●阿部詩(19)/柔道女子・52キロ級/金メダル獲得率:85%
国際大会でのデビュー以来、海外選手との対戦成績は40連勝と驚異的な数字。第一人者でありながら、東京五輪を迎える時点で20歳という若さで、伸び盛りなのも強み。兄・一二三と、五輪史上初の “兄妹アベック金” を目指す。
●吉田愛(38)&吉岡美帆(28)/セーリング女子・470級/金メダル獲得率:85%
2018年の世界選手権の優勝コンビ。吉岡は177cmと、海外選手と比べても見劣りしない。自然条件に大きく左右される競技ゆえに、どの選手より海を知り尽くしていることは有利に働く。
●西村碧莉(17)/スケートボード女子・ストリート/金メダル獲得率:75%
世界のトッププロが集う「Xゲーム」と「ストリートリーグ」で優勝。1月におこなわれた世界女子選手権大会「スーパークラウン」でも優勝(初代の女子世界王者)と、国際的な実績を誇る。世界を知る西村の物怖じしない性格は大きなアドバンテージになる。
●男子団体/フェンシング・エペ/金メダル獲得率:75%
2019年3月、男子エペW杯アルゼンチン大会団体戦にて、日本代表(見延和靖、加納虹輝、宇山賢、山田優)が初優勝。太田雄貴が協会会長に就任以来、着実に強化が実を結んでいる。
●全日本女子ソフトボールチーム/金メダル獲得率:75%
ライバルはアメリカのみ。高温多湿のなかで、6日間の過酷な日程は、層の厚い日本にとって有利に働く。また、会場となる横浜スタジアムで選手がこれから積んでいく経験値も大きい。